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■熊肉の臭味に打ち勝て——!!


ソーマ(熊肉! 複数の部位を使う…ロース・バラにモモ肉!)

(脂身と赤身をミンサーで粗挽き)

(五味子は日本酒によってエキス抽出…)

(みじん切りの玉ねぎを加える 塩で調味)

(一歩間違えれば旨味は臭味に変わっちまう)

(とにかく臭さを出させない!!)

(ぬかるなよ俺……思い描いた最善の一手を)

(打ち続けろ———!!!)


夢中で調理するソーマ。



■その一瞬に全神経を研ぎ澄ませ———


堂島「…! 幸平が注いでいるのは」

「熊からとったフォン(出汁)か!」

「ただでさえ強い肉の野性味に…更に熊のエキスを追加するとはな」

「臭みを出させぬ瀬戸際のラインまで熊の持ち味を盛り込み続けるつもりのようだ」


そこで、ソーマの調理をじっと見つめるベルタとシーラに気付く堂島。


堂島(ふふ…つい先ほどまではのほほんとしていたが)


背景にはいつの間にか仲良くなってるベルタとシーラ、久我の姿。

シーラ「照紀ちゃんお菓子食べる?」

久我「えーいいのー? たべるたべるー」

ベルタ「ダメだよーこれから審査なんだから満腹なっちゃうよ?」

ティーセットを前にキャッキャしてる3人を見守るハゲ軍団。

ハゲ
「最初はいがみあってたのに一瞬で仲良くなった」
「にしても異様に馴染んでいるな主将……まるで女子会のようだ」


しかし、今では二人ともソーマと葉山の調理に夢中になっていた。


堂島(引き込まれている…あの二人の緊張感に)

(確かに目を離せるはずもない)

(幸平たちが行っているのは)

(一手間違えば自爆必至の神経ひりつく綱渡りなのだ!!)

(———だが風味と香りの綱渡りなら)

(葉山アキラが一段上だ…!)


葉山が瓶詰めの何かを取り出す。


ハゲーズ「出たぞ!!」

「葉山オリジナルブレンドのケイジャンスパイス!!」

スパイスを食材に振りかける葉山。

その様子を見ているソーマ。

ソーマ(調味料とともに熊肉へまぶして香り付け…)

(そんで次に作ってるのは…ソースか)


ソーマの視線に気付く葉山。

葉山「人の手元を見てる余裕があるのかよ?幸平」

ソーマ「!」

葉山「……安心しろよお前の分も作ってやるさ」

「勝手に食べ比べしてくれればいい」


そして葉山の掌から落ちるスパイスに反応するベルタとシーラ。

シーラ「!?」

シーラ「なんだろう? ヒノキ科系…針葉樹特有のツンとした匂いがしたよベルタ」

ベルタ「そうねシーラ 多分テルペン類やフェノール類…大脳皮質を活性化させたりリラックス効果をもたらす成分だわ」

難しい会話に???のハゲ軍団「?」

ベルタ&シーラ「「そして匂いのもとは 間違いなくあのスパイス」」


葉山のそばには、小さい実が。

久我「……やっぱりね…葉山が作ろうとしてる香りの中軸は『ジェニエーヴル』だったか……!」

ソーマ「ジェニ…エーヴル…!?」

ハゲ「『ねずの実』ですか!?」


ナレーション:
ジェニエーヴル(ねずの実)
古代エジプト・ヨーロッパの時代から使われていた歴史を持つ香辛料で
ツタンカーメン王の墓からも発見されてことで知られる!
穀物種をこのジェニエーヴルで香り付けしたものが蒸留酒「ジン」の始まり……

松脂に似た刺激とふわっとした甘さにスパイしーさも織り混ざった重層的な香気を放つスパイスである!!


葉山のフライパンからはものすごい香りが。


葉山「熊の出汁をベースに小麦粉・牛乳を加えとろみをつけていく」

「全体が香ばしく色づいたところで調味し…香辛料で香りを足せば」

「フライドベアをさらに彩るグレービーソースの完成だ———…!」


ぐつぐつとするフライパンからソースに匂いがフワァァァと香る。


シーラ(うそでしょう…!? ふつうのグレービーソースとは比べ物にならない重層的な香ばしさ!!)

(どんな技術があればこんなものが作れるの…!?)


シーラ「ねぇベルタ…私……少しだけ食べてみたいな……」

ベルタ「……うん… シーラ…私も…」


葉山「味わってみたいのか?」

「量は余分にあるから別に構わねぇぜ」

「………ほら」

スプーンを差し出す葉山。
ペロっとほんの一口舐めるシーラとベルタ。



ベルタ(まったく臭みを感じない熊の重厚な野性味と)

(ジュニエーウルのビリリとした刺激が舌先から全身へひろがっていくッ!!)


シーラ(すごい…!!)

(ジビエの雄々しくて暴力的な風味のクセが…)

(誰もを惹きつける魅惑の香りへと“調教”されている!! )

(私たちも簡単に———)

二人の側にバチィンとムチが。


シーラ ベルタ「「愛玩動物へと なりさがっちゃう…♡」」




ソースの衝撃で息切れをしている二人を見て驚く堂島。


堂島「恐ろしい料理人だ……! あの天真爛漫なベルタ&シーラコンビがまさかソースだけでいいように屈服させられるとは…!」

ハゲ軍団「ありえぬ…ソースだけであの破壊力…!! 中華研で受けた厳しい鍛錬がなければ我らとて危なかった!」

背景には厳しい鍛錬?中のハゲ軍団の姿。




ざわつく会場。

ハゲ「これは…いくら幸平殿といえど」

「あまりにも厳しいのでは……!」

堂島「………」

久我「まぁまぁまぁ黙ってみてようよ」

振り返るハゲたち。

久我「なーんかやってくれそうな空気だからさ」


フライパン片手に真剣な表情のソーマ。

ソーマ「……おし」

「こっちもソース完成だ」


ハゲ「ぬぅ!?」

「おぉ…幸平殿が先に」

「揚げ始めるようだぞ!!」

ソーマが油に食材を入れる。



場面は変わり…

【同時刻 別室——】

試験を受けている一般生徒達の中にえりな。
夜行列車でのソーマとの会話を思い出す。


【えりな回想】


星空を眺めながらえりなに話しかけるソーマ。

ソーマ「やー…それにしても夜行列車で旅なんてつくづく粋だよなー」

えりな「まったく…君は相変わらずのんきね そんなことで大丈夫なのかしら?」

「いまいち君からは真面目さが感じられないけれど 本気で進級試験に取り組んで…しっかり生き残ってもらわないと困るわよ?」


ソーマ「だいじょーぶ だいじょーぶ」

「生き残ってみせるさ」

「もっかいきっちり勝負してケリつけなきゃならねー野郎がいるからな」

えりな「……それって──…」


葉山を連想するえりな。


【回想終わり】


鍋を見つめながら考えるソーマ(不思議だな…今なら思える)


秋の選抜を思い出すソーマ。
拳を突き上げる葉山の姿。


(あの日 俺は負けてよかった)


そして司との対決、スペシャリテなど様々な出来事が蘇る。


ソーマ(サンキューな 葉山)

(お前に負けてなきゃきっと今の俺にはなれなかった)




ついにソーマが鍋から肉を引き上げる。


ハゲ「おぉ…!」「こ…この品は…!!」


久我(幸平ちんが試作中作っていたハンバーグ…)

(練り上げた脂身と赤身が競演するはんぱない一品だった)

(それをベースに改良し…さらに衣をまとわせる事で 熊の風味をより凝縮・強化させたって訳ね…!)


「メンチカツだーーーー!!!」


シータとベルトが思わず唾をのむ。


薙切「ほう……!」


ソーマ「さぁ審査員のみなさん」

「俺なりの…最高の熊肉料理」

「一丁あがりっす」


■この一皿に勝負をかける──!!






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名前:二次これ投稿日:2016/XX/XX
メンチカツだー!
名前:二次これ投稿日:2016/XX/XX
ほうほう、えりなは一般試験受けている最中か
名前:二次これ投稿日:2016/XX/XX
ようやくえりな出たな 
名前:二次これ投稿日:2016/XX/XX
えりな蚊帳の外wwww 
名前:二次これ投稿日:2016/XX/XX
また後付け回想で誤魔化すパターンかよ
葉山戦はそんなんばっかだな
前もって描写積み重ねておくとかできねえのか 
名前:二次これ投稿日:2016/XX/XX
星空回二度目だな 
名前:二次これ投稿日:2016/XX/XX
ソース舐める双子のコマ狙い過ぎだろw
4ccab099a9014c082fde345c027b020879f4f454 

名前:二次これ投稿日:2016/XX/XX
葉山のソースを舐めてビクンビクンしながら服従するベルタ&シーラ…ふぅ 
名前:二次これ投稿日:2016/XX/XX
これは葉山逮捕されますね…… 
名前:二次これ投稿日:2016/XX/XX
負け組は敗者復活戦みたく一時離脱して特訓すんじゃねーかな 
名前:二次これ投稿日:2016/XX/XX
久我が双子と仲良くなっててワロタ
そして双子は意外と胸あるんだな 
名前:二次これ投稿日:2016/XX/XX
アリス黒木場も連太郎より少し強い程度だから厳しいな新十傑にも歯が立たんな 
名前:二次これ投稿日:2016/XX/XX
これはソーマ負けたな 
名前:二次これ投稿日:2016/XX/XX
ここで負けたらホントに口だけ野郎だぞ…


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